2010年9月、小さなギャラリーが再び「箱」で埋め尽くされた。前年の2009年展に続くこのシリーズでは、作家たちがそれぞれのやり方で箱の概念を表現した。会場には壁に掛けられた絵画や写真、ガラスケースの中のコラージュ作品、そして手に取って開けられる小さな箱のオブジェが並ぶ。

多彩なジャンルと素材
展示作品は絵画、コラージュ、写真、本の挿絵、立体と多岐にわたった。作家たちは木、紙、布、金属、さらに糸などの身近な素材を駆使し、箱の形や機能を再解釈した。
- 絵画:キャンバスに描かれた箱の静物や抽象的なイメージ
- コラージュ:古い紙や布切れを組み合わせた箱の断面図
- 写真:日常の箱を被写体にしたミニマルな作品
- 本の挿絵:物語の中に登場する箱を描いた繊細なイラスト
- 立体:蓋を開けると小さな世界が広がる箱のオブジェ
特に本の挿絵のコーナーでは、絵本や小説の一場面を切り取ったような作品が並び、来場者はページをめくるように鑑賞した。
作家との出会い
会期中には作家によるギャラリートークや実演が何度か行われた。ある作家は集めた古い箱を素材にコラージュを作る工程を披露し、参加者はその手さばきに見入った。別の作家は自作の箱の中に小さな絵画を収めるパフォーマンスを行い、作品と観客の距離を縮めた。
こうしたイベントは作品の背景や制作意図を直接聞く貴重な機会となり、ギャラリーの温かな雰囲気の中で自然な対話が生まれた。

この展覧会は2009年に始まった「hako」シリーズの一環として企画された。前回の展示『林静一の箱作品展:小さなギャラリーに秘められた世界』でも箱の持つ親密な魅力が際立っていたが、2010年9月の展覧会ではさらに多様な作家が参加し、表現の幅が広がった。
展示の最後には来場者が小さな箱にメッセージを書き込んで会場に残すコーナーも設けられ、訪れた人々自身が作品の一部となる体験を提供した。この試みは箱が単なる展示物ではなく、鑑賞者と作品をつなぐ媒介であることを改めて示した。
