2011年8月、ギャラリー「hako」で恒例の夏の展覧会が開かれた。箱という限られた空間に、作家たちがそれぞれの世界観を凝縮して表現する——それがこのギャラリーの中心テーマだ。今回の「hako 2011 08」展には、絵画、写真、コラージュ、オブジェに加え、本の挿絵や作家自身が手がけた一冊の本など、多彩な作品が並んだ。

箱という枠組みが生む多様な表現
展示作品は、箱の内側をそのまま絵画の支持体とするもの、蓋を開けると立体的なジオラマが現れるもの、箱の外側にコラージュを施し開閉で表情が変わるものまで、実にさまざまだ。中には箱そのものをオブジェとして再構成し、素材感を生かした作品も。参加作家はそれぞれの得意分野を生かし、箱という共通のフォーマットの中で自由に表現を繰り広げている。
- 箱の内側に描かれた油彩やアクリル画
- 蓋の裏に貼られた細密なコラージュ
- 箱の中に収められたミニチュアの本や立体物
- 箱自体を変形させたオブジェ作品
こうした多様性は、ギャラリー「hako」が長年にわたって続けてきたシリーズならではの厚みである。過去の展覧会の歩みを振り返ると、「hako」展:箱が導く表現の広がりと作家たちの世界でも触れられているように、箱を巡る表現の可能性はますます広がっている。
素材と技法へのこだわり
展示作品の多くは、作家自身の手による丁寧な素材選びと制作工程が感じられるものだった。例えば、木箱の木目を生かした作品では、塗料の乗せ方や研磨の加減が繊細に調整され、手触りまで意識されている。また、紙や布、金属箔などを組み合わせたコラージュ作品では、それぞれの質感が計算され、箱の開閉によって光の当たり方が変わる仕掛けもあった。
さらに、本の挿絵や作家自身が作った一冊の本を箱の中に収めた作品は、ページをめくる動作と箱を開ける動作が重なり合い、見る者に小さな物語体験をもたらす。こうした試みは、箱の中の世界:素材が語る箱アートの魅力と技法で詳しく紹介されているような、素材の可能性を追求する姿勢と通じるものがある。

会場の雰囲気と出会い
ギャラリーの空間はこぢんまりとしており、ひとつひとつの作品を間近でじっくり鑑賞できる。夏の日差しが差し込む時間帯には、箱の表面の質感や陰影が一層際立ち、訪れるたびに新しい発見がある。会期中には作家が在廊する機会もあり、作品に込めた思いや制作時のエピソードを直接聞くことができる。そうした対話が、作品への理解をより深めてくれる。
ある作家は、箱の蓋を開けると小さな手製本が現れる仕掛けを施し、見る者を驚かせた。その本には数行の詩と淡い水彩画が描かれており、箱全体が一つの詩集のような趣を帯びている。こうした細部へのこだわりが、hako展の魅力を支えている。
