2012年9月、ギャラリーhakoの展覧会は箱の中に小さな世界を詰め込んだ。各作家は絵画、写真、コラージュ、立体作品で、限られた空間をキャンバスに変えた。秋の訪れを告げる展示として、箱の開閉がもたらす鑑賞体験が注目を集めた。
絵画と写真のコラージュが織りなす物語
展示の中心となったのは、箱の内側に施された絵画と写真のコラージュだ。アクリル絵の具で描かれた背景に、切り抜かれた写真の断片が貼り付けられ、箱を開けるたびに新たな風景が現れる。作家によっては蓋の裏側にも細かい描き込みを施し、開閉の動作そのものを鑑賞体験に組み込んでいる。

素材と制作プロセスへのこだわり
出品作品の多くは、作家が自ら箱を選び、内部を加工するところから始まる。木箱の素材感を活かしたもの、古い書物の表紙を再利用したもの、金属や布を張り込んだものなど、素材の選択肢は幅広い。制作過程ではまず箱の内寸を正確に測り、ミニチュアの家具や植物を配置するための設計図を描く。その後、一つひとつのパーツを手作業で切り出し、着色し、接着する。この緻密な工程が作品の奥行きと質感を生み出している。
- 絵画:箱の内壁に直接描かれた風景画や抽象画
- 写真:現像した印画紙を箱内部に貼り込んだフォトコラージュ
- コラージュ:雑誌の切り抜きや和紙、布などを組み合わせた作品
- 立体オブジェ:針金や粘土、木片で作られたミニチュア彫刻
- 本の形をした箱:ページをめくるとジオラマが現れる仕掛け絵本型
本展の見どころ
特に「箱の中の箱」というコンセプトが注目を集めた。大きな箱の中にさらに小さな箱が入れ子状に配置され、開けるたびに異なる世界が現れる作品が複数出品された。これは2010年の展覧会(箱が開く無限の対話:2010年「hako」展の小さな世界)でも見られた手法だが、本展ではより複雑な構造と細密な描写が追求されている。
また、本の形を模した箱作品も目立った。背表紙を開くと内部に立体的な街並みが広がり、ページに見立てた薄い板をめくるたびに奥行きが変わる。こうした作品は初期の展覧会(ギャラリー「hako」展覧会:箱が開く想像力の世界)の流れを汲みつつ、より高度な造本技術とアートの融合を試みている。
箱がもたらす鑑賞体験の変化
箱アートの魅力は、鑑賞者が作品を手に取り、蓋を開け、内部を覗き込む能動的な行為にある。今回の展示では照明を内蔵した箱がいくつかあり、暗い場所で開けると内部がぼんやりと光り、影が生まれる仕掛けが施されていた。鑑賞者は箱を回しながら、光の当たり方によって変わる表情を楽しむことができる。
とりわけ、蓋を開けると現れる精巧なジオラマと、内部に仕込まれた小さなLEDライトが印象的だった。ミニチュアの街路や室内を柔らかく照らす明かりは、箱を手に取った鑑賞者の動作に合わせて変化する。展示空間でありながら、個々の箱が小さな舞台となっていた。
