2013年3月、ギャラリーhakoで開催された展覧会では、作家たちが手のひらサイズの箱の中に独自の世界を築いた。展示された作品の多くは、アクリル絵具やコラージュ、布や木片など異素材を組み合わせたものだ。限られた空間に物語を詰め込むため、素材選びと制作工程には細かな工夫が凝らされている。
素材と技法:小さな世界の作り手たち
箱の中に作品を生み出すにあたり、まず重要なのが下地となる箱自体の処理だ。作家たちは木製や紙製の箱にジェッソやアクリル絵具で下塗りを施し、表面の質感を整える。次に背景となる空や室内を描き込み、その上にコラージュや立体物を配置していく。例えば、2011年9月展:絵本の原画と制作過程を箱の中に再現——ギャラリーhakoでは、絵本作家が原画を箱に閉じ込める試みがあった。その手法は、平面の絵を立体の箱の中でどう生かすかという点で、2013年3月の作家たちにも通じるものがあった。
2013年3月の展覧会では、特に以下の素材が頻繁に用いられた。
- アクリル絵具:発色が良く、重ね塗りによる奥行き表現に適している。
- コラージュ用の和紙や洋紙:質感の異なる紙を切り貼りし、風景や模様を創り出す。
- 天然素材(木片、石、布):箱の中にリアルな質感をもたらす。
- 針金やプラスチック:細かいオブジェの骨格や透明な仕切りに利用。
これらの素材を組み合わせることで、作家たちは箱という制約の中で豊かな表現を追求した。ギャラリーhako 第8回箱展覧会:2012年10月 — 制約が生んだ多様な表現でも示されているように、限られたスペースはかえって創造性を刺激する。2013年3月の展示でも、その傾向は顕著だった。
展示の舞台裏:箱の中に込められた物語
作品が完成するまでには、丹念な計画と試行錯誤が必要となる。作家たちが取り組んだ主な工程は次の通りだ。
- 箱の下地処理:表面を平滑にし、絵具ののりを良くする。
- 背景の描画:遠近感を意識しながら、空や壁を描く。
- オブジェの配置:紙や布で作ったパーツをピンセットで慎重に配置。
- 細部の調整:影やハイライトを加え、立体感を強調。
- 照明の工夫:箱の内部に小さなLEDを仕込む作家もいた。

箱のサイズが小さくなればなるほど、筆や指先のわずかな動きが作品の仕上がりを左右する。ある作家は「指紋がつかないように手袋をして作業した」と語っていた。また、接着剤がはみ出さないように細心の注意を払うなど、普段のキャンバス画とは異なる技術が求められる。
来場者との対話:小さな作品が生む大きな交流
ギャラリーhakoの展示は、来場者が作品を間近で鑑賞できるのが特徴だ。2013年3月の展覧会でも、来場者は箱の中をじっくり覗き込み、細部の仕掛けを楽しんだ。展覧会期間中には、作家が来場者と直接対話する機会も設けられた。作家自らが制作過程を説明することで、作品への理解が一層深まる。こうしたカジュアルな交流が、ギャラリーの温かな雰囲気を醸し出している。

展示された作品の一部は現在もギャラリーのウェブサイトでデジタルアーカイブとして公開され、鑑賞できる。作家たちの細やかな仕事は、箱の中に閉じ込められたまま、未来へと受け継がれている。
