2019年6月、ギャラリーhakoで開催された「hako 2019 06」も、箱という小さな空間に作家たちが素材と技法で世界を詰め込む展示だった。ギャラリーhakoの箱展はこれまでも素材の質感や手ざわりに注目してきたが、この展示もその系譜にある。
素材の選び方とその魅力
箱アートに使われる素材は、木材、ガラス、紙、金属、樹脂とさまざま。それぞれが作品の雰囲気を大きく変える。木材は温かみと経年変化を楽しませ、ガラスは透明感と光の反射を生かした表現に適している。紙は軽やかで繊細な質感を、金属は冷たくシャープな印象を与える。作家たちはこれらの素材を組み合わせ、箱の中に独自の世界を創り出す。
- 木材:温かみ、経年変化、切削加工のしやすさ
- ガラス:透明感、光の反射と屈折
- 紙:軽やかさ、繊細な質感、染色やコラージュに適する
- 金属:シャープな質感、耐久性、鏡面効果
- 樹脂:自由な成形、色彩の豊かさ、透明性の調整
素材選びは作品のテーマと密接に関わる。自然をモチーフにするなら木材や紙、都市や機械なら金属やガラスが選ばれやすい。作家は物理的な特性だけでなく、素材が持つ文化的なイメージも考慮に入れる。
制作過程の細部
箱アートの制作は素材選びから始まり、箱の構造を設計し、切断、加工、組み立てる。箱を一から作る作家もいれば、既存の箱を改造する作家もいる。小さな部品をピンセットで扱う細かい作業が多く、根気と集中力が必要だ。照明の位置を調整すれば、影や反射で作品に奥行きが出る。
ギャラリーhakoの過去の展示でも同様のこだわりが見られる。たとえば、2013年5月の展示「素材と手ざわりが生み出す箱の中の世界」や、手のひらサイズの世界:ギャラリーhako「箱」展の素材と技法では、具体的な技法が詳しく紹介されている。
よく使われる技法
- レイヤリング:素材を重ねて奥行きを生み出す
- コラージュ:紙や布を貼り付け、質感のコントラストを楽しむ
- ミクストメディア:異素材を組み合わせて意外な表現を追求
- 照明効果:内部照明や外部光を利用して影や反射を操る
これらの技法は作家の経験と試行錯誤から磨かれる。ギャラリーhakoでは展示期間中に作家との対話の機会もあり、来場者が制作の背景を直接聞くこともできた。
光と影がもたらす効果
箱の中の作品は、外部の光や展示室の照明で見え方が変わる。初夏の柔らかな光は素材の色味や質感を引き立てる。ギャラリーhakoでは照明の当て方にも工夫があり、作品ごとに最適な光環境を整えている。ガラスの反射が壁に映り込み、紙の繊維が光を透過することで、箱の中に新たな景色が生まれる。

箱という枠組みの可能性
箱は単なる容器ではなく、作品の一部として機能する。枠組みがあるからこそ内部に集中した表現ができ、箱の蓋を開け閉めすることで鑑賞者とのインタラクションも生まれる。ギャラリーhakoの箱展は、このような箱の特性を最大限に活用した展示だ。
作家たちが選んだ素材の一つ一つに、制作時の試行錯誤の跡が見え隠れしていた。来場者は、作品の表面に残る作家の手跡に気づき、その工程に思いを馳せることができたはずだ。ギャラリーhakoの箱展は、今後もこの枠組みを通じて新たな表現を模索していく。
